なんとなしに思い付いて始まったシリーズ。
トシオくんの由来は、ビッグコミックかビッグコミックオリジナルに連載されていた『アイムホーム』という漫画。
それに登場するヨシオ君をもじったものだったりする…。
世の中のトシオさんに申し訳ない(笑)

第1話

「パパ、ミルキーってママの味なの?」
「そうだね、そういうキャッチコピーだね」
「でも、この前ママを食べた時ミルキーの味じゃなかったよ」
「そうかぁ、トシオが食べちゃったのか。パパも食べたかったなぁ」

第2話

「パパ、僕、赤ちゃん欲しい」
「うーん、残念だがトシオには無理だよ」
「えーっ。じゃあ、こないだパパが作ったのは?」
「あー、あれは出てくる前に外身ごと食べちゃったんだ」
「ズルいよ、パパ」
「よし、じゃあパパは原材料を手に入れに行って来るよ」

第3話

「頑張って、もう少しですよ」
「パパ、もうすぐ生まれるね。どっちなの?」
「女の子みたいだよ」
「長い間待った甲斐があったね」
「うん、本当に」
「オギャア」
「おめでとうございます。小柄だけど元気な赤ちゃんですよ」
「ちっ。小さいのか」

第4話

「ねぇ、パパ。見て見て、あの女の人」
「うーん、いいねえ」
「でしょ、あれだけで当分もつよ」

第5話

「ねぇ、パパ。今日来るお客さんに出す料理どうするの?」
「キノコとセリのスッパゲティーだよ」
「材料は?」
「ドクゼリとドクササコ」
※ドクゼリ:食べると、麻痺、痙攣、呼吸困難等を引き起こし、死ぬ事もある。
 ドクササコ:食べると4〜5日してから、手足に焼き火箸を突き刺したような激痛が十日以上続く。

第6話

「パパの好きな花ってなに?」
「花か、そうだな、スズラン、スイセン、シャクナゲとかかな」
「ふうん。どこがいいの?」
「人に食べさせればわかるよ」
※スズラン:食べると、食欲不振、嘔吐、心臓発作を引き起こし、時には死に至る。
 スイセン:食べると、吐き気、痙攣を引き起こし、時には死に至る。
 シャクナゲ:食べると、高熱、呼吸困難を引き起こし、酷い時は死亡する。

第7話

「パパ、『本当は恐ろしいグリム童話』って読んだ?」
「いや、読んでないよ」
「あれって恐ろしくなかったよ。なんでかなぁ」
「本当は、だから、あれは本当じゃないんだよ」
「そっか、道理で変だと思った」

第8話

「パパ、カチカチ山って酷い話だよね」
「そうだね」
「わざわざ狸がおばあさんを料理してくれたのに、おじいさんはお礼も言わずに殺したんだよ。礼儀知らずったらありゃしない」

第9話

「パパ、僕、今日飛び込み自殺見ちゃって気分悪いの」
「大丈夫かい?トシオ」
「だって、目の前に散らばってるのに食べれないんだよ」

第10話

「ねぇ、パパ。このお吸い物不味い」
「ごめんね、トシオ。だしが切れてたんだよ」
「じゃあ、お墓に行って取ってこなくちゃ」

第11話

「パパの好きな車って何?」
「ミニクーパーかな。プレゼントするのに最適」
「どうして?」
「潰れやすいんだ」

第12話

「おっ、トシオ。世界史の勉強してるのか」
「うん。パパ、昔の人って寛大だよね」
「どうしてだい?」
「だって、目には目を、歯には歯をなんでしょ?」

第13話

「おーい、トシオ。漬け物がきれてるぞ」
「え、ほんと?じゃあ、ホルマリン買ってつけなくちゃ」
※ホルマリンは人体に有害です。

第14話

「パパ、僕の事好き?」
「勿論だよ」
「何で、僕を食べないの?」
「大きくなったら、別の用途に使えるからかな」

第15話

ねぇ、パパの好きな映画ってどんなの?」
「すごくいい教育映画だよ」
「へぇ、何ていうの?」
「ネクロマンティックの完全版」
※ネクロマンティック:本国ドイツでは、上映どころか、フィルムの完全廃棄を命じられたエログロ残虐映画。

第16話

「パパ、尊敬してる人っている?」
「いないなぁ」
「えっ、ヘンリー・リ−・ルーカスとかアルバート・フィッシュじゃないの?」
「捕まったから駄目だよ」
※ヘンリー・リー・ルーカス:三百六十人を殺害した男。『ハンニバル』のレクター博士のモデル。
 アルバート・フィッシュ:四百人の子供を殺害したアメリカの最高齢死刑囚。

第17話

「トシオ、パパはトシオを食べちゃいたいなぁ」
「えっ、とうとう僕も食べられちゃうの?」
「そういう意味じゃないんだ。そのうちにね。大きくなればわかるさ」

第18話

「パパ、お客さんに出すお茶ってどれ?」
「86年のだよ。でも、トシオとパパのはコブ茶だからね」
※1986年産の某生活協同組合の緑茶からは、同年に起きたチェルノブイリ原発事故の影響で放射能が検出されている。
 別にこの生協の茶が悪いのではなく、当時世界中が放射線に汚染されていたと云う事である。
 ちなみに、放射性ヨウ素131などを体内に摂取した場合、早急にヨード(ヨウ素化カリウム)を摂取すれば体外に排出する事も可能である。
 ヨードは海藻中に多く含まれる。

第19話

「トシオ、何を読んでいるんだい?」
「通り魔についての本」
「トシオっ、そんな本は読んではいけません。 パパは、犯罪者みたく人を刺して喜ぶ子に育てた覚えはない。 刺して満足しただけじゃ駄目なんだよ」

第20話

『ぼくのおとうさん
 ぼくのおとうさんはりょうりがとても上手です。
 毎日おいしそうな食材をさがしにでかけます。
 ざいりょうは、若い女の人が多いです。おとうさんは口がうまいのでたべものには困りません。
 でも、たびたびやるとあしがつくので、おとうさんのお友達が身元不明の死体を横流ししてくれます』
「トシオ君っ、これはなんなのっ!」
「さくぶん」
「信じられない。お父さんを呼んでお話しなきゃ」
 後日
「えー、岡田先生の時に書いていた作文を集めます。先生のことでみんな悲しいだろうが、元気を出そう。みんな御冥福を祈ろう」
「先生、これ」
「なんだい?ト、トシオくん、これは?」
「さくぶん」
「先生が今度食事に行きましょうって言ってたって、お父さんに伝えてくれるかい?君のお父さんとは気が合いそうだ」

第21話

「うわぁーん」
「どうしたんだ、トシオ」
「あのね、…この本に出てくるね、おばあさんが…かわいそうなの」
「何を読んでいるんだい?」
「ヘンゼルとグレーテル」

第22話

「トシオ、なんて事をしているんだ」
「見てるだけだよ、パパ」
「そんな、道徳の教科書なんて教育に悪いもの見てはいけません」

第23話

「トシオは大きくなったら、何になりたいんだい?」
「あのね、ボタンを押す人になるの。それで、ちゃんと後片付けもするんだよ」
「パパも昔、なりたかったんだよ」
※日本では、3人が3つのボタン(内2つはダミー)を押すことで床が割れ、死刑が執行される。死刑執行人の罪の意識を軽減させるために、そのような方式がとられている。